特別公開の「楽々園」の「御書院」は、文化10年(1813)、11代藩主井伊直中(いいなおなか)が隠居後の住まいとするに際して、12代藩主井伊直亮(いいなおあき)の時代に新築されたものです。このときの増改築は、現存する楽々園のおよそ10倍となる大規模なものであり、御書院に面して新たに庭園も築かれました。この庭園は、現在は枯山水となっていますが、古絵図には水をたたえた様子が描かれています。
井伊直弼(いいなおすけ)は、隠居後の井伊直中の14男として、ここ楽々園で誕生しています。
「御書院」の中は、「御上段」「上之御間」「御次之間」「御小座敷」の4室があり、隠居した元藩主が居室としていた御上段の間のふすま障子には、金地にキク、チョウ、ツクバネなどのかれんな小文様があしらわれ、手前の上之御間との間の襖には竹に威勢のいい亀図が描かれていました。御書院内の襖の原画は彦根城博物館に保管され、デジタル化による複製したものが展示されています。